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「この世界の片隅に」感想 すずさんの右手が愛おしい

2016年11月27日

この世界の片隅に

映画「この世界の片隅に」を11月19日に鑑賞してきました。

「この世界の片隅に」は、こうの史代原作の漫画を劇場アニメ化したもので、あののんさん(本名:能年玲奈)が声優を務めている事でも話題になりました。

前評判は良かったのですが、上映している館数が少ないという事で、近場で行けそうなTOHOシネマズ市川コルトンプラザでやっていて良かったです。

※この先、ネタバレあり。

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すずさんの暮らし

この作品は、18歳のすずさんが、呉市にお嫁に行き、そこでの暮らしぶりがメインとなるお話です。

すずさんは、小さい頃から絵を描くのが好きな子。なんとなく、ほわんとした感じなのに、急に目の前に世界を絵に描きたくなっちゃうような子です。どちらかというと、今で言うところの天然というか、わりとボケてくれる人なんです。

でも、広島の実家で、お裁縫とか家事はそれなりに習ってるのか、そこら辺はちゃんと出来るんですね。もっとも、義姉の経子は少しすずさんをどんくさい感じで見ていたのかもしれません。

上映時間は約2時間ですが、割と話のテンポが早くて、どんどんいろんな事が起きていきます。そんな中でも、戦時下なので空襲が多くなったり、配給物資が減っていったりと時代背景的には大変になっていくんですが、すずさんはそれでも変わりなく生きてるって感じがいいんですよね。

すずさんの怒り

基本的に、ほんわかとした性格のすずさんなので、困った顔をしたり、笑ったりといった表情は多いんですが、あまり怒ったりはしません。なので、すずさんが怒る場面っていうのは、ある意味物語のターニングポイントだったりもするんですよね。

1つは、すずさんが右手を失ったあと、2つめは周作との痴話げんか、3つめは終戦を知らされる玉音放送の後です。すずさんが感情を爆発させる場面は、それぞれに意味深いなと感じました。戦争が終わった後に、ホッとするでもなく、悲しむでもなく、怒るという事。既に、片手を失ったすずさんからすると、もう片手も両足も残っているのに、ここで止めてしまうのかという思いだったのですよね。

北條家の人たちの反応はむしろあっけない感じで、やっと終わったかというあっさりとしたものだっただけに、すずさんの反応はものすごくギャップがありました。これまで空襲による被害があったりはしたものの、直接的な体と心に傷をおっていたすずさんとの差なのかもしれません。

すずさんの右手

すずさんは、物語の終盤で右手の手首から先を失います。時限爆弾の爆発で、姪の晴美と共に吹き飛ばされたと思われます。

ここまで、トントンと話が進んできた中で、急に時の流れが止まってしまったかのような描写になりました。直前の場面で、「時限爆弾があるから離れて」という声が聞こえて、その事をあまり理解出来ていなかったすずさんが、その後に時限爆弾の事を思い出した刹那に爆発してしまう訳です。おそらく、あの爆発ではるちゃんが犠牲になった事は予測できました。

近くにいたすずさんにも影響はあるだろうと思いましたが、右手がなくなっていた事はショックでした。すずさんの右手がない。絵を描くのが大好きなすずさんの右手。その右手がないという事が、本人にとってもどれほどの事なのかと。もっとも、晴美が亡くなってしまった事で責任を感じていた事もあり、その時点では右手がなくなった事のショックを上回っていたのですが。

この事件の後も物語は進み、実際に右手を失くしたすずさんは何をするにも苦労します。ときには、人の手を借りなければ出来ない事も多くなりました。

この映画の最後、エンディングの後に、さらにクラウドファンディングで支援してくれた人たちの名前が出てきて、最後の最後に手を振る場面が出てきます。失くなったはずの右手。その右手が手を振っているというのが、急に悲しくなってしまったんですよね。最後の最後で、それはズルいなと。

1945.8.6

物語としては戦前の話が中心となっていく訳ですが、ときはどんどんと進んでいきます。嫁ぎ先の呉市がメインとはなる訳ですが、すずさんの実家は広島市なんです。この先、何が起こるのか見ている自分たちは知っているのです。

刻一刻との、その日が近づいてきます。なのに、すずさんは、8月6日に広島に帰ろうとしていました。結果的には帰らなかったのですが、帰っていたらまったく違う物語になっていたでしょう。

呉から広島だと20kmないくらいの距離ですが、一瞬の閃光と地震のような揺れ、そして大きなキノコ雲が出現しました。

すずさんたち北條家の人たちも、それが何なのかは理解はしていなかったでしょう。ただ、アメリカ軍が新型爆弾を落としたという事はその後知らされたようですが。物語の中心が呉なので、その被害については断片的にしか出てきません。すずが、広島市を訪れるのは、戦争が終わった翌年になってしまうので。

声優のん

主人公、すずさんの声を演じているのは、のん(本名:能年玲奈)です。予告編や、物語の序盤を観てると、"ああ、のんの声だ"という感じなんですよね。平たく言うと能年ちゃんだなと。

実際、物語が進んでものんちゃんの声な訳ですが、不思議な事に途中から、"ああ、すずさん"だなと思えてきます。いや、確かにのんちゃんではあるんですが、すずさんが喋っているとしか感じなくなってくるんですよね。本当に、違和感なく。

例えとして合っているかわかりませんが、イタコの憑依のように、のんちゃんが喋ってるのだけれど、そこに居るのは確かにすずさんなのです。

もちろん、のんちゃんは広島の方言を使っているし、すずさんとしての演技はしているのですが、そこまで普段の声色と使い分けているわけでもありません。それなのに、不思議とすずさんとしか感じられなくなるのは、何なんでしょうね。

ハッピーエンド!?

この物語の最後は、ハッピーエンドなのでしょうか!?。ハッピーエンドと言うには、本当に小さな希望が見えたという感じの終わり方だったと思います。

戦争は終わったとは言え、呉も広島も街が消失してしまっているし、すずさんは右手を失い、はるちゃんも帰らぬ人となっています。戦争孤児が、すずさんの失くなった右手を、自分の母親のものと重ねていった事が縁で、北條家に引き取られていきます。歳の頃は、はるちゃんと同じくらい。北條家に少しだけ明るさが戻った気がしました。

この物語の先はわかりませんが、彼女も広島市にいて原爆を体験した訳なので、後々後遺症が出ないとも限りません。北條家の希望の光は、この先も続くのかどうなのかもわからない訳です。ただ、すずさんは、やっぱりすずさんなのかなとも思います。

 
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