「猿の惑星創世記」知能を得た猿の行き着く先は!?

こーいち at 2011年10月30日 22:44 カテゴリー:映画

金曜日の夜、レイトショーで「猿の惑星創世記(ジェネシス)」をTOHOシネマズ市川コルトンプラザで観てきた。

洋画はあまり観ない方なのだが、猿の惑星シリーズは、テレビでやってるときは観ていたので、よく知ってる作品。というわけで、めずらしく、観てみないなと思ってたので、行ってきたというところです。

※ネタバレがところどころにあるので、注意して下さい。

まずは、予告編。

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予告編にもあるとおり、本来人間のアルツハイマーの治療薬を開発している過程でチンパンジーに投与したところ、知能が飛躍的に発達するようになったというところから始まる。

もう一人の主人公といっていい、チンパンジーのシーザーは、アルツハイマー治療薬を投与されたチンパンジーの母親から生まれた突然変異種だった。

原理はわからないが、治療薬が脳神経細胞を活発化して、ものすごい勢いで形成されるというイメージだろう。
主人公のウィル宅でシーザーは極秘裏に育てられる事になる。
シーザーの知能は、人間の子供よりもはるかに速いスピードで発達していった。
でも、単純に知能が発達しただけじゃなく、より人間的な感情をも引き出してきているのが、悲劇的でもあった訳だ。

この治療薬、当初は人間にも効果があると思われてたが、ウィルの父親チャールズのアルツハイマーの進行は一時的に回復したものの、その後再発。さらに悪化していった。
シーザーが、そのチャールズのフォークの持ち替えてあげるシーンは、なんともいえず物悲しいものがあった。

発達した知能と感情は、シーザーの中で葛藤を生じさせていたと思われる。
つまりは、自分は一体何者なのかという事。チンパンジーではあるが、人間と変わらない知能を持つ自分がいったいどこから来たのかという葛藤。

この後、シーザーは、病状が悪化したチャールズをかばって、人間を襲ってしまい、類人猿収容施設に入れられる。ま、この飼育員がまた、クソ野郎なんだが。
しかも、ここに収容されている類人猿たちは、シーザーの母親らと同じく密漁で連れ込まれたもので、ウィルの務める製薬会社の実験動物として送り込まれていた。

ウィルは、シーザーを助ける為の裏金つくりと悪化したチャールズを助ける為に、さらに強力な薬を開発していた。その間にシーザーは、施設の他のチンパンジーや、ゴリラを従えるようにまでのしあがっていた。さらに、その知能を駆使して、施設からの脱出までも果たせるところまできていた。
そのシーザーが取った行動。それは一体なにを目指していたのか!?人間への復讐か!?それとも別な何かなのか!?

とにかく、シーザーは、自分一人じゃ力が足りないと判断したのだろう。シーザーは施設を抜けだして、ウィルの自宅へ潜入して、新薬を持ち帰っていた。霧状になって吸い込むだけで効果がある薬は、施設にいた他のチンパンジーや、ゴリラ、オランウータンの知能も発達させていった。そして、ついに施設で反乱を起こす。

施設を抜けだしたシーザー達は、街に進出。大暴動を起こす。でも、これは、実はある場所に向かうための準備に過ぎなかったわけだが。
人間vs猿。知恵を得た猿は、その身体能力で人間を打ち負かす。もちろん、人間の武器の前に犠牲者も出てたわけだが。
シーザーをかばって、特攻していったゴリラは、実に人間っぽいなと思わせた。施設に入れられていたとき、ただ1匹別な檻に入れられていたのを、シーザーに外に出れるように恩にきていたのだろう。

人間への大反抗と思われたシーザー達の行動だったが、ただ一人ウィルにだけは以前と変わらないように接していた。シーザーは、人間であるウィルに育てられたわけで、あくまで人間を恨んでいたわけじゃないのだろう。

シーザーは、たった一人ぼっちの知能を得た猿から、仲間と居場所をえる為に行動をおこしていたという事なのだろう。

知能を得た猿の集団が出来上がると同時に、もう一つの布石が出来ていた。
あの新薬は猿には爆発的な知能を与えていたが、人間には死をもたらすウイルスだった事。そして、ウイルスの感染者の中に航空機のパイロットがいた事。ウイルスは瞬く間に広がっていっただろう。

この映画を見終わった後に帰る人達がほとんど無言だった事。もちろん、レイトショーで人が少なかった事はあるけど、一人で見に来ていた人じゃなきゃ、普通はあれこれ感想を言いあう声が聞こえるもんだと思う。思わず、無言になってしまう。それが、素直なところだと思う。

元々、シーザーという生き物は生まれるはずのなかった生き物。人間が人工的に作り出した薬によって生まれた、突然変異種。それが、人間への反逆をして勝ってしまった上に、人間には毒になる薬。全ては、人間が招いたものだったという訳だ。
知能を得てしまったがゆえに苦悩するシーザーの表情。それがとても痛く心に刺さってくる。人間が、あらたな生き物を生み出してしまう事の意味。

ま、こういうのが相まって、複雑な感情となっていたというところだろう。うーん、うーん、何なんだろな!?しっくりとこない。そんな感じで劇場を出ていったと思われる。