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Number 768 外国人監督が見た日本サッカー

少しばかり前になってしまうが、Sports Graphic Number 768を読んだ。

タイトルは、外国人監督が語る日本サッカー論。

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メインの記事は、日本代表監督 アルベルト・ザッケローニと、Jリーグ優勝監督のドラガン・ストイコビッチの記事。

ザック監督のインタビューを読むと、この号の他の監督、特に日本で成功したと言われる監督のそれに通じるものがあるなと感じる。
まず、日本を知る、日本人を知るという事に対して貪欲だ。選手とのアプローチの仕方も悪くないと感じた。

おもしろいのは、クライフとサッキのどちらの影響を受けたのかという下り。あえて言えばという但し書きはついているが、クライフ派と明言している。もちろん、イタリア人でもあるし、サッキの影響を受けていないわけではない。

ザック監督は事あるごとに、バランスという言葉を口に出している。バランス感覚を大事にする監督というのがわかる。が、この記事内にもあるように、その意味合いは正しく認識しなければならない。"攻撃も守備もほどほどに"という意味合いではなく、"攻撃も守備も全力でやった上でのバランス"という事らしい。
さらには、攻撃と守備だけではなく、組織と個人のバランスも言っている。ガチガチの組織論者ではなく、個人も重視しているというところだろう。

もちろん、代表監督だから、結果は残していかなくればならないんだが、今のこのタイミングでザック監督というのは、いいのかもしれない。トルシエ、ジーコ、オシム、岡田武史と続いた流れ・・・、というか揺らいでいた流れと言った方がいいのか。今までの経験を元に、ギュッと方向性を固めていくという意味では適任なのかもしれない。

ピクシーの記事は、インタビューではなく、どちらかというとドキュメンタリー。あの木村元彦氏が書いた記事だ。
この記事を読むと、我々が想像していた以上にピクシーが日本を気に入っていた事がわかる。そして、現役引退後、用意周到に経験を積んでグランパスに戻ってきた事も。
なにしろ、ユーゴ協会の会長やら、レッドスターの会長をやってたんだから、ピクシーの年齢を考えれば、すごい経験だ。

おそらく、現役時代のピクシーを見てると、監督ピクシーは、実に冷静だなという風に見える。まぁ、もちろん、指揮をとっている最中は感情表現も豊かだけど、現役時代みたいに激高するような事はない。
ピクシーと言えば、オシムやらベンゲルといった名監督のもとで活躍した選手で、その影響も受けている事は間違いない。でも、今年のグランパスのサッカーって、必ずしもその面影があるようには見えないなという気がしている。
今年は優勝するためにというやり方も多少あったのかもしれないが。まだ、ピクシーが目指しているサッカーのほんの一部なのかもしれない。

その他、オリベイラ、クルピ、シャムスカ、ネルシーニョと言ったところの記事も興味深い。
さらに、元ジェフ監督のアレックス・ミラーの記事も。正直、ミラーは、あの状況で解任されて、日本のことをどう思っているのだろうというのはあったのだが、意外と印象はよいようだ。「遅刻する選手が一人もいないのが新鮮だった」というのは、おもしろい。
ジェフでフルシーズン指揮出来なかった事は心残りではあるようだ。でも、また日本で仕事をしたいという意欲もあるみたい。
アレックス・ミラーのサッカーは、今の日本のサッカーの本流から少し外れるところもあるんだけど、あーいうサッカーがハマるチームもありそうな気がするので、招聘してみてもおもしろいかもしれない。

そして、オシム爺さんの記事。香川や本田の話や、ピクシーについて。
そして、ジェフ時代に見た日本人選手の印象だとかいう事も触れています。

今のジェフの事は、

自信を失い、同時に多くの選手を失った。幾人かは今またチームに戻ったが、以前と同じではない。一度壊れたものは、その破片を集めても元のようにはならない

と語っている。

その他には、ダバディ、鈴木國弘、千田善の元代表監督通訳3人の座談会もなかなか興味ぶかかった。まぁ、こればっかりは、代表監督の通訳という大任を任された人じゃないとわからない共感する部分もあるようだ。
鈴木さんが、一つ後悔していると言っていた、「自由」という表現の訳について、誤ったイメージが広まってしまった事に触れていた。

セルジオ越後さんの話が載っているんだけれど、最後の結びにセルジオ越後が言っていた「漫画の『キャプテン翼』。僕が30年かかった仕事を、たった2年でやっちゃんだから。あれには僕も勝てないな。」という言葉。
これは、本筋から離れてしまうけれど、時に漫画の偉大さを思い知らされるエピソードだなと。

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